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soft ball club updated 2022-09-30

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ソフトボール部名勝負!

H30 関東大会栃木県予選準決勝 文星女子高校戦

吉田 峰人

 平成30年5月に行われた関東予選において矢板中央高校は準決勝で、新人戦優勝し全国選抜大会の出場校である第1シード文星女子高校との対戦となった。関東大会出場のかかった一戦は5月13日日曜日、柳田緑地公園ソフトボール場において、矢板中央の先攻で試合開始。

 1回表、文星の先発マウンドにはエースの長岡が上がる。1番大野はショートフライ、2番髙橋はフルカウントと粘りながらもショートゴロ、3番齋藤友はショートライナーに倒れ、三者凡退。
 1回裏、矢板中央の先発マウンドには荒巻が上がる。1番渡辺をセンターフライ、2番常盤をショートゴロ、3番大田原をショートフライに打ち取りこちらも三者凡退に抑える。

 2回表、矢板中央は先頭の4番元尾は初球をきれいに弾き返しレフト前ヒットで出塁。5番荒巻がライトフライに倒れた後、6番角がファースト前への犠打で2死2塁とするが、7番和気はライトフライに倒れ先制点のチャンスを逃してしまった。
 2回裏、文星の攻撃。先頭の4番関谷は一塁線を破る二塁打で出塁し、5番長岡のサード前への送りバントで1死3塁。6番藤田はストレートの四球で1死1、3塁、次の7番仲野の2球目で1塁走者の藤田は盗塁。中野は四球で1死満塁。しかしここは荒巻が踏ん張り、8番三浦を初球ショートフライ、9番齋藤を2ストライクと追い込んでの4球目をショートゴロに打ち取りピンチを脱した。

 3回表、矢板中央は先頭の8番福田はレフトフライ、9番鈴木はショートゴロ、1番大野はショートのエラーで出塁すると、瓦井監督はすかさず足で揺さぶりにかかる。次の2番髙橋のときに盗塁を仕掛けたが文星捕手藤田が2塁への矢のような2塁けん制の前に盗塁失敗、この回無得点。
 3回裏、文星は1番渡辺がショートゴロ、次の2番常盤はファーストゴロでボールを捕球した和気が難なく打者走者にタッチし2死…のはずが落球してしまい1死1塁。嫌な雰囲気が漂う。3番大田原がピッチャー右への絶妙なバントに荒巻が追い付けずセカンド方向へ転がる内野安打となり1死1、2塁。4番関谷はセンターフライに打ち取るが2死1、2塁で5番長岡はツーストライクからの右への打球が1塁線ファースト後方に落ちるテキサスヒットでサードーコーチャーの久喜監督の手がグルグル回り、2塁ランナー常盤は快速を飛ばして一気にホームへ。しかしワンバウンドで落ちたボールを矢板中央ショート髙橋がボールを捕球するとすぐさま体を素早く右回転させ矢のようなバックホーム、キャッチャー元尾はこのボールを掴むと懸命に回り込もうとする2塁ランナー常盤の左手にタッチし間一髪タッチアウトで先制点を阻止。ピンチを脱した。

 4回表、矢板中央の攻撃は先頭の2番髙橋はショートゴロ、3番齋藤友はセカンドゴロ、4番元尾はファーストゴロに倒れ、三者凡退。
 4回裏、文星の攻撃。6番藤田をライトフライ、7番仲野はフルカウントからジャストミーと、ライト前へ落ちるかというライナーに矢板中央ライト福田が判断よく地面すれすれで捕球し好プレーで2死、8番三浦はショートフライで三者凡退に打ち取った。

 5回表、矢板中央の攻撃。5番荒巻はセカンドゴロ、6番角はサードフライ、7番和気はサードゴロに倒れ三者凡退。
 5回裏、文星の攻撃。先頭の9番齋藤はサード前へのセーフティーバントが内野安打となり出塁。次の1番渡辺もファースト前へのバントが内野安打となり無死1、2塁。2番常盤のサード前への送りバントで1死2、3塁。次の3番大田原のピッチャー前へのゴロを荒巻は捕球ざまに素早くバックホームで3塁ランナーの齋藤をホームでタッチアウトにし2死1、3塁。4番関谷をサードゴロに打ち取り、ピンチを脱した。

 6回表、矢板中央の攻撃は先頭の8番福田がセンターオーバーの二塁打で出塁、チャンスを迎える。矢板中央サイドとしては先制点がどうしても欲しいこの大事な場面で、瓦井監督は9番鈴木に替えて代打菅野を投入。菅野は2球でツーストライクに簡単に追い込まれるがその後粘って5球目の外角いっぱいに投じられた厳しいボールに食らい付き、執念で上手くバットコントロールで打球を殺してファースト前へ転がす犠打で、1死3塁と形を作り、監督の期待に見事に応える。その執念が伝わったのか、続く1番大野はこれまたツーストライクと追い込まれながらも3球目をしぶとくセンター前に落とすタイムリーヒットを放ち、矢板中央がついに先制。なおも1死1塁で瓦井監督は機動力で揺さぶりにかかるがまたも文星キャッチャー藤田の矢のような2塁けん制の前に盗塁失敗。2番髙橋はファーストゴロに倒れスリーアウト。しかし待望の先制点が矢板中央に入った。
 6回裏、矢板中央サイドは代打の菅野に替わり、レフトに鈴木が再出場。文星の攻撃は5番長岡がショートゴロの後、6番藤田はセンター前ヒットで出塁。7番仲野はツーストライクに追い込まれながらも3球目を弾き返す。打球はぐんぐん伸び、一瞬前進しかかったセンターの齋藤友が懸命にバックするも届かず右中間を破る二塁打で1死2、3塁。ここで矢板中央サイドは荒巻から福田をリリーフに送る。その福田の4球目を8番三浦はセカンド方向へジャストミート、上手く捕球できればバックホームが間に合うタイミングでは合ったが打球の勢いが勝り大野がホームでアウトを取れず、1塁でアウトにし1対1の同点。2死3塁で9番齋藤をサードゴロに打ち取りスリーアウト、逆転は阻止した。


 7回表、矢板中央の攻撃。先頭の3番齋藤友が強い当たりではあったが不運にもセカンド正面のゴロとなり1死、4番元尾もセンターへの良い当たりであったが伸びすぎてセンターライナー、5番荒巻は三振に倒れ、三者凡退。
 7回裏の文星の攻撃、先頭の1番渡辺はセカンドフライ、2番常盤はショートフライ、3番大田原はセンター前ヒットで出塁するが、4番関谷をレフトフライに打ち取り無得点。試合は1対1のまま、無死2塁からスタートのタイブレーカーに突入した。

 8回表の矢板中央の攻撃、荒巻が2塁ランナーに入る。6番角のファーストへの絶妙な送りバントが内野安打となり、無死1、3塁。7番和気の6球目に1塁ランナーの角は2塁盗塁し、無死2、3塁。和気はセカンドフライに倒れるが、8番福田はフルカウントからの6球目を綺麗にセンターに弾き返すタイムリーヒットで矢板中央は再び2対1と勝ち越し、なおも1死1、3塁。9番鈴木の初球で1塁ランナーの福田は2塁盗塁し、1死2、3塁。矢板中央サイドとしては追加点が欲しい場面であったが、ここから文星のエース長岡の速球が冴える。右方向を意識した鈴木であったが、その心理を読んだマウンド上の長岡はカウント2-2からの5球目のインコースの速球で完全に裏をかき、逆を突かれた鈴木は手が出ず見逃し三振。1番大野も上手く叩き付けるバッティングを見せ、センター前に抜けようかというゴロであったが文星ショート関谷が上手く捕球しすぐさま1塁へ矢のような送球、懸命に走る打者走者の大野も僅かに及ばずアウトとなり、1点は勝ち越したものの長岡の気迫の投球の前に惜しくも2点差に出来なかった。

 それがタイブレーカーの険しさなのか、その後の試合の流れに影響してしまったかもしれない。

 8回裏の文星の攻撃。2塁ランナーに関谷が入り、5番長岡が打席に入る。長岡は1ボールからの2球目をピッチャー左への絶妙なプッシュバント。福田は懸命に部ラブを出すも僅かに捕球できず、ショート髙橋もサードベースにカバーに入った逆を突かれ、打球はセンターに転がるタイムリーヒットとなり2対2の同点。これで勢い付いた文星サイドは6番藤田が3球目をレフト前ヒットで無死1、2塁。さらに先ほど二塁打の7番仲野には右中間へのヒットを打たれ、福田に替わりライトに入った荒巻はこの打球に上手く回りこんでなんとかワンバウンドで追い付いたが、捕球したときには2塁ランナーの長岡はすでに3塁を回っており、荒巻の懸命のバックホームも及ばず、長岡は生還しサヨナラで試合終了。

 延長タイブレーカーまで及ぶ戦いであったが矢板中央は2対3で敗れ、目前まで迫った3年ぶりの関東大会出場を惜しくも逃してしまった。
 しかし何度もピンチを迎えながらも得点を許さない再三の我慢の守備力と持ち前の機動力、そして2ストライクと追い込まれながらの2度のセンター返しによる勝ち越しタイムリーでしぶとく相手の焦りを誘い、新人戦優勝の文星を苦しめた矢板中央サイドは4月の春季県北大会の大田原女子戦に続いての強豪相手に堂々たる引き締まった試合巧者ぶりで、今後のインターハイ予選に向けさらなる手応えを掴んだのである。