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ソフトボール部名勝負!
H27 関東大会栃木県予選準決勝 白鴎大足利高校戦
吉田 峰人
平成27年5月に行われた関東予選において矢板中央高校は順当に準決勝に進出、白鴎大足利高校との対戦となった。試合は5月10日日曜日午前9時28分、柳田緑地公園ソフトボール場において、矢板中央の先攻で試合開始。
1回表、白鴎大足利の先発マウンドには左腕の朝倉が上がる。1番の柳田を三振に打ち取るが、次の2番森に四球を与えたところで早くも岡部監督はピッチャーを1年の右腕金久保にスイッチ。次の3番佐藤は3塁線への絶妙なバント、1塁であと半歩足りずアウトとなるが、送りバント成功で2死2塁。4番杉山はサードゴロで先制のチャンスを逃した。
1回裏、矢板中央の先発マウンドには2年生の田辺が上がる。1番千賀をセカンドゴロ、2番柴田をショートゴロ、3番水戸をショートゴロに打ち取り、三者凡退に打ち取る。
2回表、矢板中央は先頭の5番山口がセカンドゴロ、6番中沢はセカンドゴロ、しかしセカンドからの送球がファーストへの悪送球となりボールデッド、1死2塁。次の7番海村のところで3塁への盗塁をしかける。慌てたキャッチャーの送球が逸れレフトへ。しかし外野に逸れているのに気付かずホームへ突入するのに一瞬判断が遅れ、レフト生田目からのワンバウンドの好返球の前にクロスプレーとなったが中沢の足より白鴎大足利のキャッチャー国井のタッチが一瞬早く、惜しくもタッチアウト。7番海村は三振で先制のチャンスを逃した。
2回裏、白鴎大足利の攻撃。4番藤川はショートフライ、5番生田目はセカンドゴロ、6番国井はワンボールからの2球目のストレートをフルスイングしライトオーバーの3塁打。2死3塁となりピンチとなるが次の7番高宮をショートゴロに打ち取りピンチを脱した。
3回表、先頭の8番増田はショートゴロ、しかし白鴎大足利のショート水戸がファーストへ悪送球し無死1塁。次の9番田辺のバントが決まり1死2塁。1番柳田は三振で2死2塁。2番森は四球を選び2死1、2塁。3番佐藤はカウント1-1からの3球目を弾き返し1、2塁間を破るが、ライト程島が軽快にさばいてファーストへ送球、ライトゴロで3アウト。
3回裏、白鴎大足利は先頭の8番金久保はレフト前で無死1塁。9番程島は3塁前へのバントで1死2塁。1番千賀の打席で金久保は3塁への盗塁を決め1死3塁。千賀は1、2塁間への打球をセカンド海村がノーバウンドで捕ろうと飛び付くが届かずボールは落ちてしまい、ホームは諦めて1塁へ送球し2アウト。しかしこの間に3塁走者の金久保はホームインし1点を先制される。2番柴田には3塁前への内野安打で2死1塁となるが、3番水戸をセンターフライに打ち取り、矢板中央のピッチャー田辺は1点で切り抜けた。
4回表、矢板中央の攻撃は先頭の4番杉山が三振、5番山口が1ストライクからの2球目を弾き返し、きれいな流し打ちのレフト前ヒット、続く6番中沢もカウント3ボール1ストライクと有利なカウントからセンター前ヒット。7番海村はピッチャー前への送りバントで2死2、3塁とするが8番増田がカウント1-1からの3球目を打つがセカンドフライに倒れ、無得点。
4回裏、白鴎大足利の攻撃。矢板中央のピッチャー田辺は4番藤川をカウント1ボール2ストライクと追い込みショートゴロ、5番生田目もカウント1ボール2ストライクと追い込みピッチャーゴロ、前の打席で3塁打を打っている6番国井も1ストライクからの2球目をピッチャーゴロに打ち取り三者凡退。
5回表、矢板中央の攻撃は9番田辺が初球を打ってセカンドゴロで1死。1番柳田はファーストへの叩きつけるゴロ。白鴎大足利のファースト柴田はボールを捕って1塁へベースを踏みに行こうとするが柳田の全力疾走に戸惑ったのかセカンド千賀へのトスに切り替える。しかし柳田の足が速く1塁はセーフになり、柳田は内野安打で出塁。2番森はカウント1-1から高いバウンドのショートゴロを打つが白鴎大足利のショート水戸の軽快なフィールディングに倒れ、2死2塁。3番佐藤はファールで3球粘り、フルカウントからの8球目をジャストミート。センター前ヒットになるが白鴎大足利のセンター高宮が素早く前進してボールを掴み、矢のようなバックホーム。ワンバウンドの好返球となり2塁ランナーの柳田はホームに帰れず、2死1、3塁。4番杉山に回ってきたがカウント1ボールからの2球目を引っ掛けショートへのゴロ、白鴎大足利のショート水戸が軽快にさばいてファーストへ送球し3アウト、この回も無得点。どうしてもあと1本が出ない。
5回裏、白鴎大足利の攻撃。先頭の7番高宮を2ストライクと追い込みショートゴロ、8番金久保がセンター前へのヒットで1死1塁。9番程島は2ボール1ストライクからの4球目をサード前に送りバントを決め2死2塁。1番千賀がカウント1-1からの3球目をセカンドへ叩きつけるような内野安打で2死1、3塁。次の2番柴田での初球に千賀は盗塁を決め2死2、3塁。ピンチとなったが、矢板中央のピッチャー田辺は踏ん張り、カウント1-1からの3球目を打たせてピッチャーゴロに打ち取りピンチを脱した。
6回表、矢板中央の攻撃は6番山口がカウント2ボール1ストライクからの4球目を打ちショートへのゴロ、山口は懸命に走るが白鴎大足利のショート水戸の矢のような送球の前にあと半歩足らず、惜しくもアウト。6番中沢もカウント2-2からの5球目を叩き、センターに抜けようかというショートへのゴロ、中沢も懸命に走り1塁へヘッドスライディング、何とか生きようとするがショート水戸の好フィールディングの前に阻まれ、これまた惜しくもアウト。次の7番海村も2球ファールで粘ったが4球目の外への球に三振。この回はヒットを2本もぎ取られたような形になってしまった。
6回裏、白鴎大足利の攻撃は3番水戸がファーストへのファールフライ、4番藤川がショートへの内野安打で1死1塁。5番生田目は叩きつけるセカンドへのゴロを海村が弾いてしまい1死1、2塁。6番国井がカウント2-2からの5球目を弾き返し、矢板中央のサード山口が逆シングルでグローブを出すも間に合わず3塁線へのヒット、しかしレフト佐藤が俊足を飛ばして上手く最短距離で入りボールを掴み、2塁ランナーの藤川は3塁ストップで1死満塁。絶対絶命のピンチ。7番高宮はカウント2ストライク追い込まれながら3球目をライナーで弾き返し1、2塁間へ…。矢板中央サイドの誰もが一瞬「やられた」と思ったであろう。しかしこの抜けようかという打球に矢板中央のセカンド海村が左に飛んでのダイビングキャッチで2アウト。さらに飛び出した1塁ランナーの国井を見て海村はファースト杉山へ送球、国井は1塁に戻れずダブルプレー。海村のこのファインプレーにより大ピンチを脱した。
7回表、最終回の矢板中央の攻撃。先頭の8番増田はカウント2ボール1ストライクからの4球目をライトフライ。9番田辺はカウント1ボール2ストライクからの5球目を打ってショートゴロ。2死ランナーなし。次の1番柳田もカウント3ボール2ストライクと追い込まれ「あと1球」となった6球目、白鴎大足利のピッチャー金久保の投げたボールは低めへのストレート。際どかったがボール半個分低いボールを柳田は選んで四球で出塁。2死1塁から2番森はカウント1ボール2ストライクとこれまた「あと1球」と追い込まれた4球目のボールを強く叩き、ピッチャー後ろへのゴロ。この難しいショートバウンドのゴロを白鴎大足利のショート水戸が弾き、エラーとなり2死1、2塁。次の3番佐藤への1ストライクからの2球目、ピッチャー金久保の投球がワンバウンドとなりキャッチャー国井が左にわずかにこぼす。この一瞬の隙を逃さず、2塁ランナーの柳田が3塁への一か八かの盗塁。国井は弾いたボールを素早く掴み3塁へ送球。クロスプレーとなったが国井の送球がわずかに高く、柳田の右に回り込んだスライディングにサード藤川のタッチが一瞬遅れ、3塁塁審はセーフの判定で2死2、3塁。これに気合を入れなおしたのか、バッターボックスの佐藤は三度「あと1球」と追い込まれたフルカウントからの6球目のストレートをきれいにライナーでセンター前に弾き返し、ヒット!2塁ランナーの森は当たりが良すぎてホームに帰れなかったが3塁ランナーの柳田は生還(上の貼り付け写真参照)、殊勲のタイムリーとなり1対1の同点に!しかも2死1、3塁。4番杉山はファーストフライに倒れたが、3度も「あと1球」と追い込まれながらの執念の同点劇で、試合は振り出しに戻った。
7回裏の白鴎大足利の攻撃、先頭打者はここまで2安打の8番金久保。2ボールからの3球目を打つが、ここは矢板中央ピッチャー田辺の球威が勝りショートゴロ。次の9番程島をカウント1ボール2ストライクと追い込み5球目をショートフライ、1番千賀を一球でセカンドフライに打ち取り三者凡退。
試合は1対1のまま、無死2塁から攻撃が始まるタイブレーカーに突入。
8回表、矢板中央の2塁ランナーには杉山が入る。5番山口はカウント1-1からの3球目を3塁前への送りバントで1死3塁。6番中沢の打席での2球目、中沢が空振りし3塁ランナーの杉山が飛び出してしまう。慌てて3塁に帰る杉山だが、キャッチャーの国井の3塁への送球が低くなり、3塁にスライディングした杉山と3塁ベースカバーに入ったサード藤川が交錯する間にボールが入り、杉山の体に当たったのかボールは3塁側ベンチの方にこぼれていく。これを見た3塁コーチャーの小林監督はゴーの指示、杉山はホームに突入。そして急いでこぼれたボールを拾いに行くサード藤川。藤川はボールを掴んで懸命のバックホーム、クロスプレーとなったがキャッチャー国井のタッチより一瞬早く杉山の右足が入り球審はセーフの判定。2対1と矢板中央はついに1点を勝ち越す。6番中沢はショートフライ、7番海村はレフト前ヒットで出塁し2死1塁となるが8番増田はピッチャーゴロに倒れ、追加点はならなかった。
この試合初めて、1点を追う立場となった8回裏の白鴎大足利の攻撃。2塁ランナーには千賀が入る。先頭の2番柴田のショートへの当たり。2塁ランナーが一瞬視界に入ったが、中沢は落ち着いて1塁へ送球し、1死3塁。3番水戸はストレートの四球で1死1、3塁。4番藤川のときの1ボールからの2球目に水戸は盗塁し1死2、3塁。ここでバッターボックスの藤川はフルカウントからの6球目を弾き返し、センター前へ。当たりが強かったため2塁ランナーの水戸は3塁でストップ。しかし2対2の同点とされてしまい、なおも1死1、3塁。次の5番生田目が打席に立った時に矢板中央サイドは故意四球で満塁策をとった。
次の6番国井との勝負。矢板中央の内野陣は前進守備を捕る。
田辺の投じた初球を国井はジャストミートし、セカンドの頭上へ…。
今度こそ「やられた」と矢板中央の誰もが思った瞬間、セカンド海村がジャンプ一番でこの打球をキャッチ!ボールが半分飛び出ていたがボールをしっかり押さえて2アウト。サヨナラ勝ちと一瞬思ったはずの白鴎大足利の全ランナーは慌てて各ベースへ戻り、海村は1塁へボールを転送しようとするがファースト杉山がベースカバーに入れず、2死満塁。次の7番高宮はカウント1ボール2ストライクからの4球目を打ちショートへのゴロ。ボールを捕った中沢と2塁ランナーの藤川がちょっと交錯しかかったが、落ち着いていた中沢は2塁ランナーの藤川にタッチしてアウト。これまた大ピンチを脱した。
8回は表裏ともに1点ずつを取り合い、両雄ががっぷり四つに組んだ大熱戦となった。
9回表、矢板中央の攻撃。2塁ランナーには増田が入る。先頭の9番田辺はバントを試みるがファースト柴田への小フライとなり送りバント失敗、1死2塁。このバント失敗により一瞬流れが止まりかけたが、次の1番柳田はピッチャーとサードの間への強く叩いたゴロ。白鴎大足利のピッチャー金久保がボールを捕って素早く1塁へ送球するが柳田の足が勝り1塁セーフの内野安打で1死1、3塁。ここで白鴎大足利サイドはピッチャー金久保を下げ、再び左腕の朝倉をマウンドに戻す。2番森への初球のとき、1塁ランナーの柳田は2塁盗塁で1死2、3塁。マウンド上の朝倉はボールが定まらず、森をストレートの四球で歩かせ、1死満塁。3番佐藤はカウント2-2からの5球目の外へのストレートに空振り三振。2死満塁で4番杉山を迎える。ここで点が入らなければ負けを覚悟しなければならない場面で、気合の入っていたキャプテン杉山はしぶとく5球粘りフルカウントに持ち込み、全てのランナーがスタートできるカウントに。6球目をファールし、次の7球目。朝倉の投じた外へのストレートを打ち、打球はセカンドの頭上を越えようかという当たり。ライト程島の前への突っ込みの判断が一瞬遅れ、セカンド千賀が背走しながらグローブを懸命に出すも届かず、ボールはライト前に落ちた!ヒットとなり、3塁ランナーの増田に続いて2塁ランナーの柳田も快足を飛ばして一気にホームへ。ボールを捕球したライト程島のバックホームの判断が一瞬遅れてしまいホームへは投げられず、柳田も生還!キャプテン杉山の意地の一打で、矢板中央は2点をもぎ取った。これでスコアは4対2となり、なおも2死1、3塁。追加点のチャンスに5番山口を迎えるが、山口はカウント2ボール1ストライクからの4球目を打ってショートフライに倒れ、追加点はならず。
しかし、矢板中央サイドに大きな大きな2点が入った。
9回裏の白鴎大足利の攻撃、2塁ランナーには高宮が入る。しかし2点のビハインドとなったこの場面となってはもう打つしかない。先頭の8番金久保はフルカウントからの6球目を打ち、ショートゴロ。ショート中沢のけん制の前に2塁ランナーの高宮は3塁へ進めず、1死2塁。9番程島はカウント2ボール1ストライクからの4球目をライナーで弾き返しセンターの前へ。しかし、完全に落ちたと思われたこの打球に判断よく猛然と前へ走ってきた矢板中央のセンター柳田がボールの落ち際に「ここしかない」というタイミングで絶妙なダイビングキャッチ!ボールを掴んだ柳田がグローブを上げてノーバウンドでボールを掴んだことをアピールし、2塁塁審はアウトの判定。この柳田のファインプレーにより、2死2塁。しかしあと1人、1番の千賀は怖い打者だ。その千賀に対し、矢板中央のピッチャー田辺は向かって行く気迫の投球でカウント2-2と追い込む。そして運命の5球目、田辺の投げた外角高めのボール1個分外にコントロールされた渾身のストレートに千賀のバットは空を切り、空振り三振!
試合時間は2時間1分、延長9回の激闘を4対2で制したこの瞬間、矢板中央の各選手たちは一斉にマウンドに詰め寄り、一気に喜びを爆発させた。
最終回の三度訪れた「あと1球」のピンチを物ともせず、選手たちは堂々とした試合運びで攻守にわたってここ一番で信じられないような好プレー連発、「最後の1球まであきらめない」執念で強豪相手からむしり取ったこの勝利により関東大会出場を決め、ソフトボール部は新たな歴史の1ページを作ったのである。