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soft ball club updated 2022-09-30

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ソフトボール部名勝負!

H28 県北春季大会2回戦 那須拓陽高校戦

吉田 峰人

 平成28年4月に行われた県北春季大会で、矢板中央高校は2回戦で那須拓陽高校との対戦となった。試合は4月23日土曜日午前11時2分、にしなすの運動公園において、矢板中央の先攻で試合開始。

 1回表、那須拓陽の先発マウンドにはエース松田が入る。
 松田は先頭の1番渡辺をショートゴロ、2番斎藤をショートゴロ、3番和気綾をセンターフライと三者凡退に抑える。
 1回裏、矢板中央のマウンドには田辺が上がる。1番大関はフルカウントからショートへのふわりとした当たり。嫌な打球の変則の仕方で矢板中央のショート海村の手前でのバウンドが変わり、海村はこれを左に回りながら捕球するがちょっと焦ったのかその後の送球が高くなり、ファースト大島の懸命にグローブをはめた右手を伸ばしたが届かず、後ろにそらしてしまい悪送球の間に打者走者の大関は2塁へ。無死2塁。次の2番菊地のときに暴投で無死3塁。菊地はセカンドフライに打ち取るが、1死3塁から3番渡辺が1ボール2ストライクに追い込まれながらも田辺の4球目をきれいにレフト前に弾き返し、ライナーでレフト阿美の前にワンバウンドで落ちるタイムリーで3塁ランナーの大関が還り、1点を先制される。続く4番新山はセンターへの当たり。しかし矢板中央のセンター鈴木が1塁ランナーの渡辺を2塁でフォースアウトにする好プレーで2死1塁。5番大森をセカンドゴロに打ち取り、スリーアウト。
 この回を1点に抑えたが、先制点を許してしまった。

 2回表、矢板中央の攻撃はこの回先頭の4番田辺がレフトへのクリーンヒットで出塁。5番佐藤が初球をうまく打球を殺し1塁線に転がす絶妙なキャッチャー前へのバントが決まり1死2塁。6番海村は高いバウンドのピッチャーへのゴロで田辺は三進し2死3塁。しかし7番印南がセカンドフライに倒れ、同点ならず。
 2回裏、那須拓陽の攻撃。矢板中央のピッチャー田辺は立ち直りを見せ、6番高山をセカンドゴロ、7番石橋をレフトフライ、8番辺見をセカンドゴロで三者凡退に打ち取る。

 3回表、矢板中央は8番阿美がショートフライ、9番鈴木は3塁線にバントで転がすがサード伊藤の好フィールディングで間一髪アウトとなり2アウト、1番渡辺はセンターフライでこの回三者凡退。
 3回裏、那須拓陽は9番松田がサードゴロ、1番大関ライトフライ、2番菊地は四球で出塁するが3番渡辺の右中間への当たりを矢板中央のセンター鈴木が上手く回り込んで抑えるセンターライナーでこの回を無得点に抑える。

 4回表、矢板中央は2番斎藤が四球で出塁、3番和気綾は1、2塁間へのゴロ。これを那須拓陽のセカンド菊地がゲッツーを狙いアウトを取るタイミングの難しいセカンドへ送球、ショート渡辺の捕球より一瞬早く斎藤の足が勝り2塁セーフとなる野選。さらにショート渡辺の1塁への送球が悪送球となり2人のランナーが進塁、無死2、3塁のチャンス。さらに4番田辺は四球で無死満塁。押せ押せムードの中、同点、いや一気に逆転して突き放しにかかろうと、矢板中央サイドはこの場面で強攻策を選択。しかしその強攻策が裏目に出て5番佐藤は鋭い3塁への当たりだがサード伊藤への正面のライナーで1死。さらに6番海村もカウント2-2からの5球目をサードライナー。那須拓陽のサード伊藤はライナーを捕球後、すぐに3塁ベースカバーに入ったショート渡辺へ転送。矢板中央3塁ランナーの斎藤は3塁に戻れずダブルプレーとなり、2度の会心の当たりがいずれもサードの正面を付く不運で無死満塁の大チャンスを逃してしまった。
 4回裏、那須拓陽は4番新山がレフト前ヒット、5番大森はサードへのゴロ。しかし矢板中央のサード渡辺が判断を誤り間に合わないセカンドへ送球してしまい野選で無死1、2塁。6番高山はファーストへの送りバントで1死2、3塁。しかしここは田辺が踏ん張り7番石橋を浅いライトフライ、8番辺見をセンターフライに打ち取りピンチを脱した。

 5回表から那須拓陽はピッチャーを松田に替わり小川がリリーフ。矢板中央の攻撃は小川の前に7番印南はレフトフライ、8番阿美はサードライナー、9番鈴木はサードゴロに抑えられ、三者凡退。
 5回裏、那須拓陽は先頭の9番小川がレフト前ヒット、1番大関がサード前へのバントで1死2塁。2番菊地はショートへの当たりの強いゴロ。ショート海村が上手く捕球し、飛び出した2塁ランナーを挟む。しかし小川の2塁へ帰塁に一瞬あせったのか海村の送球がわずかに左に逸れ斎藤がセカンドベースへのカバーのタイミングがずれて斎藤が懸命に伸ばしたグローブを弾いてボールが左中間方向に逸れてしまい、この間に2人のランナーはそれぞれ進塁して1死2、3塁。3番渡辺はセンター前に弾き返すタイムリーヒットで3塁ランナーの小川が還り追加点で0対2。さらに1死1、3塁となり続く4番新山の初球で1塁ランナーの渡辺は2塁盗塁。
 1死2、3塁からカウント2ボール1ストライクから田辺の投じた4球目を新山は鋭くバットを振り抜くと、その当たりは3塁線への鋭い当たり…抜ければ勝負が決まってしまう捕球が難しいバウンドの痛烈なゴロをショートバウンドが高く跳ねたがサード渡辺が渾身の右手を伸ばして神がかりの捕球、そして3塁ランナー菊地をけん制した直後に振り向きざまに素早く1塁への矢のような送球。
 打者走者の新山を1塁でアウトにするスーパープレーにより、2人のランナーは動けず2死2、3塁。続く5番大森をチェンジアップで空振り三振、ワンバウンドのためキャッチャー和気綾がファースト大島に転送してスリーアウト。貴重な2点目こそ許してしまったが、もしこのイニングでさらにあの3塁線への当たりが抜けて2点が入っていたならこのまま勢い付いてしまいそうな那須拓陽の猛攻撃を渡辺の大ファインプレーにより1点止まりに抑え、「まだ2点差。流れはまだどちらにも転んでいないし、試合はまだ終わっていない」と言わんばかりにここから矢板中央サイドは粘りを見せる。

 6回表、矢板中央は先ほどの神がかりなプレーでチームを救い、気を良くした1番渡辺が小川の投じた初球をいきなりセンターオーバーの2塁打、2番斎藤もカウント1ボール2ストライクと追い込まれながらも小川の投じた5球目をジャストミート、センターオーバーのタイムリー2塁打となり2塁ランナーの渡辺が還ってまず1点差。なおも無死2塁の場面で3番和氣綾は1ボールからの2球目を打って1、2塁間のセカンドゴロ、この間に斎藤は三進し1死3塁。
 4番田辺はショートフライに倒れ、2死3塁。同点に追い付かないと苦しい展開となる中、打席に入ったのは5番佐藤。この大事な場面で佐藤は集中していた。カウント1-1からの渾身の小川の外への際どいコースのストレートを佐藤は狙っていたかのような鋭いスイングできれいにセンター前に弾き返す殊勲のタイムリーを放ち、3塁ランナーの斎藤が還って矢板中央はついに2対2の同点に追い付く。2死1塁で6番海村の2球目で1塁ランナーの佐藤は盗塁を決め、2死2塁と一打勝ち越しのチャンス。海村は四球で2死1、2塁。
 ここで7番印南はカウント2ボール1ストライクからの小川の投じた4球目を弾き返すライトへの大きな当たり。しかし那須拓陽のライト高山が上手く背走してボールを掴み、印南はライトフライに倒れ惜しくも勝ち越しはならなかった。それでも斎藤、佐藤のタイムリーでようやくチャンスをものにし、試合は2対2の振り出しに戻った。
 6回裏、那須拓陽は先頭の6番高山がサードゴロ、7番石橋は四球で1死1塁とされるものの続く8番辺見をショートゴロで2死1塁、9番小川を三振に打ち取り無得点。試合は両チーム無得点のまま最終の7回に突入。

 7回表、矢板中央は先頭の7番阿見がセカンドフライ、9番鈴木がレフトフライ、1番渡辺がセンターフライで三者凡退。
 7回裏、那須拓陽は1番大関がショートライナー、2番菊地、3番渡辺が連続レフト前ヒットで1死1、2塁とされるが続く4番新山を1ボール2ストライクからの4球目をセカンドゴロ。セカンド斎藤はゴロを捕球すると1塁ランナーの菊地にタッチしてすぐ1塁に送球しダブルプレーに切って取る好プレーで試合は2対2のまま延長戦に。大会の規定により、延長戦は無死2塁から始まるタイブレーカー方式で行われた。

 8回表、矢板中央は1番渡辺が2塁ランナーとなる。2番斎藤はサード前へのバントで1死3塁。1死3塁で3番の和気綾が打席に入る。ここはどうしても勝ち越しが必要な場面だが、先攻で1点止まりでは裏の攻撃を抑えるのは非常に苦しいとみた矢板中央サイドはこのイニングで2点を取りに行くべく、強攻策を選択。
 カウント1ボール1ストライクからの小川の投じた3球目を和気綾はピッチャー右のセカンド方向へ高いバウンドのゴロ。しかし那須拓陽のピッチャー小川が左手を懸命に伸ばしてボールを捕球しサードランナーの渡辺をけん制。渡辺はホームに還れず小川は1塁に送球、和気綾は1塁アウトとなり2死3塁。さらに4番田辺はセカンドゴロに打ち取られ、この回無得点。
 8回裏、那須拓陽の2塁ランナーは新山が入る。先頭の5番大森は初球を打ってショートゴロ。ゴロをつかんだショート海村は2塁ランナーの新山をけん制して1塁へ送球し1死2塁。続く6番高山が打席に入る。高山はストレート一本に絞り、カウント1-1から田辺の投じた3球目を待ってましたとばかりに弾き返し、ライト佐藤の頭上を襲う。佐藤は懸命に背走するがその頭上を越えるエンタイトルのタイムリー2塁打で2塁から新山が還りサヨナラで試合終了。2対3で惜しくも敗れてしまった。

 しかし矢板中央は先発で8回まで好投した田辺の粘りの投球とキャッチャー和気綾のリード、そしてサード渡辺、セカンド斎藤、センター鈴木の好プレー、そして打っては斎藤、佐藤のここ一番で飛び出したタイムリーで攻守にわたり選手たちは躍動し、延長までもつれ込んだ試合時間1時間43分の死闘は今後につながる大きな試合となったのである。