更新日 2018-09-18 | 作成日 2018-09-18

平成26年度 野球部名勝負!

H26 春季県大会2回戦 白鷗大足利高校戦

吉田 峰人

 平成26年度の春季栃木県高校野球大会は、矢板中央高校は初戦の宇都宮東高校戦に勝利すると、次は昨秋の関東大会優勝チームで春の選抜甲子園出場のシード白鷗大足利高校との再戦。昨秋の栃木県大会の初戦で激突した試合では矢板中央は6回に一度は2対1と逆転しながら直後の7回表に白鷗大足利に一挙3点を奪われ再逆転されてしまい、3対6で敗れている。その悔しい思いをバネに、春季県大会こそはそのリベンジを果たすべくチームワーク重視で試合に臨みたいところであるが、大方の予想は白鷗大足利の順当勝ちを予想していたことであろう。

 試合は4月29日火曜日14時から宇都宮清原球場において、白鷗大足利の先攻で試合開始。
 1回表、矢板中央の先発マウンドには3年生右腕の君島が立つ。先頭の1番周東をファーストゴロ、2番中島にセンター前ヒットを許すが3番大下を空振り三振、4番直井をファーストゴロに打ち取り後続を断つ。

 1回裏、白鷗大足利の先発マウンドには右腕エースの比嘉が立つ。オーバーハンドから繰り出される球は130km中盤の速度ながらコントロール重視で矢板中央打線に仁王立ち。1番黒金にセンター前ヒットを許し次の舘林のときに盗塁を決めて無死2塁とするが2番舘林がサードゴロ、3番矢板がセンターフライ、4番深沢がセンターフライで先制のチャンスを逃す。

 2回表、君島は5番小野寺を空振り三振、6番小川をピッチャーゴロ、7番比嘉をショートゴロに仕留め、相手打線を三者凡退に打ち取る上々の立ち上がりを見せた。
 2回裏、矢板中央は先頭の5番山田がセカンドゴロのあと、1死ランナーなし6番佐藤がセンター前ヒットで出塁。しかし後続の7番菊池がセンターフライ、8番君島の打順のところに代打で入った岡田がショートゴロに倒れ、この回無得点。

 3回表、矢板中央は代打の岡田に替えて小林に交替。君島からのリリーフとしてマウンドに送る。その小林は8番朝比奈をセンターライナー、9番大門をショートゴロ、1番周東をセカンドゴロに打ち取る。こちらも相手打線を三者凡退に打ち取る上々の立ち上がりだ。
3回裏、矢板中央は先頭の9番菅原がショートライナー、1番黒金がライトフライ、2番舘林がセンター前ヒットで出塁して2死1塁、しかし続く3番矢板の打席のときに舘林の盗塁は失敗し、この回無得点。

 4回表、白鷗大足利の先頭の2番中島はショートゴロ、3番大下は空振り三振、4番直井は死球で出塁するが続く5番小野寺をファーストゴロに仕留め、無得点。
 4回裏の矢板中央は先頭の3番矢板がピッチャーゴロ、4番深沢がセカンドゴロ、5番山田がサードゴロ。白鷗大足利のエース比嘉はここまで3安打を許しながらも、コーナーワークを丁寧に突いて打たせて取る堂々たるピッチングで得点を許さない。

 5回表の白鷗大足利の攻撃は先頭の6番小川をショートゴロ、7番比嘉を空振り三振、8番朝比奈をサードゴロに仕留め、三者凡退。
 0対0で試合は進み、試合が動いたのは5回裏。
 5回裏の矢板中央、先頭の6番佐藤がセカンドゴロに倒れ、1死ランナーなしから7番菊池がライト前ヒットで出塁。続く8番小林のときに菊池はすかさず盗塁を決め、1死2塁。小林は二遊間をゴロで抜けるヒットで1死1、3塁。続く9番菅原は、先程の打者である小林と同じような当たりのセカンド左へのゴロ。一瞬「ゲッツーか」と思われたが飛んだコースが良かったため、白鷗大足利のセカンド中島の選手の逆シングルで差し出したグラブがわずかに届かずセンター前へ。3塁ランナーの菊池が生還し、なんと矢板中央が1点を先制してなおも1死1、2塁と追加得点のチャンス。矢板中央サイドとしてはこれで一気に畳みかけたいところだが、白鷗大足利の比嘉の前に1番黒金センターフライ、2番舘林がライトフライに倒れ追加点ならず。しかしながら、センター返しを徹底した打線がこの回はつながり、待望の先制点が矢板中央に入った。

 6回表の白鷗大足利の攻撃は先頭の9番大門を空振り三振、1番周東を空振り三振、2番中島をファーストゴロに打ち取る。先発の君島を3回表からリリーフした小林がコーナーをいっぱいに突くストレートと鋭く縦に曲がる変化球とのコンビネーションで、白鷗大足利の各打者にここまで的を絞らせない小気味良いピッチング。
しかし白鷗大足利も昨秋の関東大会王者、このままおいそれと終わるはずがない。エース比嘉が6回裏の矢板中央の攻撃に対し、3番矢板をセカンドゴロ、4番深沢をセンターフライ、5番山田を見逃し三振に打ち取ると、7回表に白鷗大足利はついにその意地を見せ、反撃。

 その7回表の白鷗大足利の攻撃は先頭の3番大下が四球で出塁し、続く4番直井が送りバント。5番小野寺はショートライナーに倒れるが、6番小川は2ストライクに追い込まれながら外へのストレートを痛烈にセンター前へ。矢板中央のセンター矢板はバックホームを焦りボールをファンブルしている間に2塁ランナーが生還し同点。続く7番比嘉の当たりはショート左の痛烈なライナー。舘林がグラブを出すが打球の勢いが勝りレフト前へ。2死1、2塁の勝ち越しのピンチ。しかし小林の気迫のピッチングで続く8番朝比奈に替えての代打瀬下を空振り三振に抑える。同点止まりで抑えたことで流れを相手に渡さなかったことが、後の試合展開に大きく響くことになる。白鷗大足利サイドとしては、なかなか点が取れない試合展開に選手たちが徐々に異様な雰囲気に包まれてきていると感じてきたことであろう。

 7回裏の白鷗大足利の守備は、代打の瀬下がそのままレフトに入る。
 矢板中央は7回裏、先頭の6番佐藤がセンター前ヒットで出塁。続く7番菊池のときに盗塁とみせてのエンドラン。白鷗大足利のショートが2塁ベースに入る守備の逆を突いてセンター前へ。佐藤は一気に3塁へ走り、無死1、3塁のチャンス。続く8番小林の当たりはセカンドゴロ。3塁ランナーの佐藤はゲッツー逃れのためホームに向かうが白鷗大足利のセカンド中島はバックホームを選択。佐藤は本塁でタッチアウトとなり1死1、2塁と変わる。ここからは白鷗大足利のエース比嘉が粘りのピッチングを見せて9番菅原をセンターフライ、1番黒金をセカンドフライに打ち取り、矢板中央は無死1、3塁のチャンスを生かせなかった。

 するとチャンスの後にピンチありで、8回表の白鷗大足利は先頭の9番大門をライトフライ、1番周東をセカンドゴロに打ち取るが2番中島がセンター前ヒット、3番大下は死球で出塁し、2死ながら1、2塁と矢板中央の小林を攻め立てる。ここで4番直井がカウント2ボール1ストライクから小林が投げた4球目を弾き返し、ライトへの痛烈なライナー。矢板中央のライト黒金はこの打球にノーバウンドで抑えようと前へ懸命に走るが、ボールは無情にもショートバウンドで落ちてライト前ヒット。黒金は白鷗大足利の2塁ランナー中島が本塁へ走るのを見てボールを捕球し、素早くバックホーム。レーザービームのような送球がノーカットで山田のミットに収まり、山田は白鷗大足利の2塁ランナー中島の腰にタッチして勝ち越しを阻止。

 8回裏、矢板中央は先頭の2番舘林が見逃し三振、3番矢板がセンターフライに倒れた後の2死ランナー無しから粘りを見せる。4番深沢がライト前ヒットで出塁し、続く5番山田のときに盗塁を決める。2死2塁とチャンスを広げ、山田は2ストライクと追い込まれながら白鷗大足利のエース比嘉のストレートをジャストミートでとらえ、三遊間を痛烈に破るレフト前ヒット。3塁コーチャーの手がぐるぐる回るのを見て、2塁ランナーの深沢は快足を飛ばして一気にホームへ。しかし白鷗大足利のレフト瀬下も懸命のバックホームでこちらも負けじとレーザービームのような送球。カットマンとして入ったショート大門が「これなら間に合う」とスルーし、送球は少し左に逸れたがキャッチャー小川のミットに収まり、小川は猛然とホームベースへスライディングするより一瞬早く深沢の右膝に懸命に右手を伸ばしてタッチ、球審は小川のボールがミットに収まっているのを確認してアウトの判定。8回は両チームが外野手からのバックホームで3アウト目を取るという、まさに両チームがっぷり四つに組み合った凄い試合になってきた。

 9回表、白鷗大足利は5番小野寺が見逃し三振、6番小川がファーストへのファールフライに倒れ、2死ランナー無しから7番の比嘉がライト線にしぶとく落とす2塁打で出塁し2死2塁。しかし後続の8番瀬下センターフライに倒れ、矢板中央の小林の粘りのピッチングの前に勝ち越しならず。白鷗大足利の選手たちに徐々に焦りの色が見え始める。

 サヨナラ勝ちを狙う9回裏の矢板中央の攻撃、先頭の6番は佐藤。白鷗大足利サイドとしては先程9回表で気迫のライトへの2塁打で懸命に走ったものの、勝ち越し点には結びつかなかったショックが残っているのか、疲れも見え始めたエース比嘉のストレートを狙っていた佐藤は、1ボールのあとの2球目のストレートを狙い通りに「待ってました」とばかりにきれいに弾き返し、この日3本目のセンター前ヒットで出塁。続く7番菊池はバントの構えを見せるが、比嘉の初球の内角へのストレートに力が入り、菊池の背中にあたる死球。無死1、2塁。ここで白鷗大足利の藤田監督はエース比嘉を下げてライトの大下をマウンドへ送り、ライトには杉原が入る。大下はストレートに勢いのあるピッチャーなのでそう簡単に点が取れないとみた矢板中央の奥澤監督は、続く8番小林にセオリー通りに送りバントの指示を出す。「サード前へ転がればよい」とリラックスした表情の小林が大下の初球をバントした打球は、きれいにサード前へ転がる。絶妙のバントになり、これに焦った白鷗大足利のサード小野寺の送球はわずかに高く逸れ、白鷗大足利のファースト直井の足が一瞬離れる。サードからの送球を捕り、再びベースを踏み直そうとするファースト直井の足をジャンプしてかわして1塁ベースを踏んだ小林。タイミングは微妙であったが、ファーストよりも小林のベースを踏んだ方が一瞬早いと判定した1塁塁審は「セーフ!オフ・ザ・バック」の判定。この判定に白鷗大足利サイドから「ベースを踏んでいる」と必死にアピールするが判定は覆らず、無死満塁。続く9番菅原の打球はサードへのゴロで白鷗大足利のサード小野寺はこの打球を捕ると、サードベースを踏むよりも先にバックホームを優先し、3塁ランナーの佐藤のみを本塁でアウトにする。1死満塁。ここで打席に立つのは1番の黒金。「前進守備の内野の頭を越せればよい」と大下の投げた2球目のストレートをとらえるが大下の球威が勝り、打球はフラフラと上がってショート後方への力のない打球…浅いレフトフライかと思われたが「落ちてくれ」と声に出さずに祈る黒金。その気持ちが通じたのか、懸命に走る白鷗大足利のレフト瀬下の差し出したグラブよりわずかに手前に早く落ち、レフト前へのヒット。これを見て3塁ランナーの菊池はホームを踏んで、2対1のサヨナラ勝ち。

 試合前の大方の予想を覆し、昨秋の関東大会王者に対して堂々の試合運びでうっちゃってしまった!サヨナラ勝ちを決めた瞬間、昨秋の逆転負けのリベンジを果たし「まさか信じられない」といった感じで矢板中央の選手たちは喜びを爆発させ、試合終了の瞬間に一気にベンチから飛び出してサヨナラのホームを踏んだ菊池を囲んで歓喜の輪に。
 投げては先発の君島、リリーフの小林が試合を作り、打っては下位打線ながらラッキーボーイ的存在の佐藤、菊池、小林がチャンスを作った。一度は同点にはされても選手と監督が一体となって集中力を持続させ、相手の勝ち越しを許さず、最後まで試合の流れを一度も相手に渡さなかった矢板中央の執念が実を結んだ全員野球での勝利であった。

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<週刊ベースボールマガジンに本校野球部が掲載される>

ベースボールマガジン社が発行している雑誌で「週刊ベースボールマガジン6月2日号」(2014年5月21日発行)96ページのアマチュア情報最前線に、本校野球部が「13年ぶりの大舞台で得た甲子園初出場への財産」の見出しで、関東大会出場の裏側として”監督が、チーム内で選手たちにどのような意識改革を行っていったのか””冬場に選手たちが強化していったことは何か”の内容で掲載されました。チームとしての今後の成長が楽しみです。

詳しくは LinkIconこちら をクリック!

<白夜書房の「野球小僧 2011年高校野球開幕大特集」に本校野球部選手が掲載される>


 白夜書房が発行している雑誌で2011年3月10日発売の「野球小僧 2011年高校野球開幕大特集」に、本校野球部3年生の福田龍太投手が写真付きで掲載されました。「どんな選手か」、「プロでいえばどんな選手タイプか」など、今後の活躍に期待できる内容が書かれており、彼のますますの成長が楽しみです。

詳しくは LinkIconこちら をクリックしてください。

<白夜書房の「野球小僧 世界野球選手名鑑2010」に本校野球部選手が掲載される>

 白夜書房が発行している雑誌で2010年3月20日発行の「野球小僧 世界野球選手名鑑2010」に、本校野球部2年生の福田龍太投手が写真付きで掲載されました。「どんな選手か」とか「プロでいえばどんな選手タイプか」など、今後の活躍に期待できる内容のことが書かれており、彼のますますの成長が楽しみです。
 福田龍太投手に加え、3年生では斎藤雅史投手と石川将平一塁手も併せて野球小僧に掲載されました。


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オクボール
(雑誌LinkIcon「Baseball Clinic 09年1月号」で紹介されました)