更新日 2018-09-18 | 作成日 2018-09-18

平成28年度 野球部名勝負!

H28 全国選手権栃木県大会3回戦 佐野日大高校戦

吉田 峰人


 春季栃木県大会において準決勝まで進出した矢板中央は第98回夏の選手権栃木大会でシード権を獲得、2回戦の足利工業大附属高校戦を5対3で勝利し、3回戦に進出した。次なる対戦相手は佐野日大高校。2年前の平成26(2014)年春の選抜甲子園でベスト4まで進出し、今大会も140キロ近い球速を誇る左右の投手陣3人に加え俊足1番打者と勝負強い中軸打者を擁し優勝候補の一角にあげられる強豪。
その佐野日大対矢板中央の試合は7月18日月曜日11時45分、矢板中央の先攻で試合開始。
 1回表、佐野日大の先発マウンドにはエースナンバーの伊藤が入る。先頭の江尻はセンターライナー、2番野中は粘ってフルカウントから良い辺りのショートゴロ、3番吉田はライトへのファールフライで三者凡退。
 1回裏、矢板中央の先発マウンドにはエースナンバーの鈴木が入る。その立ち上がりを佐野日大打線が襲いかかる。先頭の1番ショート五十幡はフルカウントからワンバウンドが高く跳ねてピッチャーのグラブを弾き、センターへ抜けようかという当たり。セカンド渡辺がボールを捕球するが1塁へは投げられず内野安打。2番セカンド吉川はバント失敗で2ストライクと追い込んだ3球目の外への変化球を泳ぎながらも三遊間の当たり。サード齋藤は飛びつくがグラブを弾いてセカンドベース方向へ転がる。カバーに入ったショート吉田がボールを抑えるが何処にも投げられず無死1、2塁。ピンチが広がる。3番センター中山和はサード前への送りバントで1死2、3塁。4番レフト中山貴はカウント1ボール2ストライクからの4球目をセンターへの鋭い当たり。3塁ランナーに続いて2塁ランナーも一気にホームを狙う。しかし矢板中央のセンター野中が懸命のバックホームがワンバウンドでキャッチャー加藤のミットに収まり、懸命に回り込もうとするランナーにタッチして本塁封殺。しかし1点が入ってしまった。2死1塁で5番ライト石山を迎えたがここは鈴木が三球三振に打ち取り1点に抑えた。

 2回表の矢板中央の攻撃。先頭の4番加藤は初球をレフト前にクリーンヒット。しかし続く5番小室がセカンドへの併殺打、6番齋藤は見逃し三振で3人で攻撃終了。
 2回裏、佐野日大の攻撃。先頭の6番ファースト戸泉はセンターへの当たりを放つが矢板中央の野中が右中間へ上手く回り込んでランニングキャッチ。7番キャッチャー須藤はレフトへの大きな当たりだがあと一伸びが足りずレフトフライ。8番ピッチャー伊藤はフルカウントからの変化球で空振りに抑え三者凡退。

 3回表、矢板中央の攻撃。先頭の7番ライト大島はセカンドフライ、8番ピッチャー鈴木と9番セカンド渡辺は連続三振に倒れ三者凡退。
 3回裏、佐野日大の攻撃。先頭の9番サード中根をファーストフライ、1番五十幡はセカンドへの弱い当たり。しかし打球が詰まった分矢板中央のセカンドがボールを捕球しファースト小室にトスしたときにはすでに1塁を駆け抜けセーフ、2打席連続の内野安打で出塁し1死1塁。2番吉川の2球目に1塁ランナー五十幡は盗塁を決め1死2塁のピンチ。追加点を奪われるとその後が厳しい展開になりかけたが矢板中央のピッチャー鈴木が踏ん張り、2番吉川を空振り三振、3番中山和はレフトライナーに抑えピンチを脱した。1回裏の攻撃を最少失点で切り抜け、この3回裏も追加点を与えなかった粘り強い守備により、矢板中央の各選手たちは徐々に試合のリズムをつかんできたように見えた。試合の流れが少し傾いたのかもしれない。

 4回表、矢板中央の攻撃。先頭の1番江尻は3塁線を破る二塁打、続く2番野中は初球を意表を突いたセーフティバント。これが3塁線に上手く転がり、佐野日大のピッチャー伊藤はボールを捕球し素早くファーストへ送球するが1塁ベースにヘッドスライディングした野中の手が一瞬早く触って無死1、3塁。続く3番吉田はカウント2-2と追い込まれながらも伊藤の投じた5球目の外への変化球を三遊間への深い当たり。佐野日大のショート五十幡がゴロを捕球し1塁へ送球するがその送球が高くそれてしまい、ファールグラウンドへ。この悪送球の間に3塁ランナーの江尻がホームインし1対1の同点、さらに野中は3塁、打者走者の吉田は2塁へ進塁し無死2、3塁と逆転のチャンスとなる。ここで佐野日大サイドはピッチャーを伊藤から左腕江田にスイッチする。4番加藤は江田にカウント1ボール2ストライクと追い込まれながらも外への変化球をレフトへ大きなフライ。レフト中山貴がキャッチし1死となるが、タッチアップから3塁ランナーの野中が生還し、矢板中央は2対1と逆転。
 なおも1死2塁のチャンスだが5番小室はセカンドゴロ、6番齋藤は良い当たりだがサードライナーに倒れ追加点ならず。しかし試合をひっくり返した。
 4回裏、先頭の4番中山貴は3塁線への当たり。矢板中央のサードは回り込んでボールを捕球しようとするがボールを弾いてしまう。あわてて弾いたボールを拾い1塁へ送球するが間に合わず無死1塁。5番石山は弱い当たりのショートゴロでゲッツーは取れず1死2塁。6番戸泉は3塁線へのゴロ。難しいバウンドであったがサード齋藤が上手く体を預けてボールを捕球し、1塁への送球はハーフバウンドとなったかファースト小室が上手く取って2死。7番須藤もセンターフライに抑え無得点に抑えた。5回表、矢板中央の攻撃。先頭の7番大島は死球で出塁。無死1塁から8番鈴木に替えて代打中根を起用。中根はカウント1ボール2ストライクと追い込まれながらも変化球を上手くとらえてショートの頭上を越すレフト前ヒットで無死1、2塁。9番渡辺はファースト前への送りバントで1死2、3塁。しかし1番江尻は浅いレフトライナー、2番野中は浅い当たりのショートゴロで1塁へ全力疾走するが足がわずかに間に合わず倒れて無得点。

 5回裏、矢板中央のマウンドには2番手生井が上がる。生井は先頭の8番江田をショートゴロ、9番中根をサードへの内野安打で出塁させるが1番五十幡をショートフライ、2番吉川をセンターフライに抑えて無得点。

 6回表、矢板中央の攻撃は3番吉田がライトフライ、4番加藤は空振り三振、5番小室はセンター前ヒットで出塁、6番齋藤もピッチャー返しのセンター前ヒットで2死1、2塁。しかし7番大島はショートゴロに倒れこの回も無得点。チャンスがありながらあと1本が出ない。
 6回裏、矢板中央はサードを齋藤に替えて黒金を起用する。先頭の3番中山和をレフトフライ、4番中山貴はセンター前ヒットで出塁するが5番石山は詰まった当たりのサードゴロ、6番戸泉も初球でサードゴロに抑え無得点。

 7回表、矢板中央の攻撃。先頭の8番生井をショートゴロ、9番渡辺はカウント1ボール2ストライクからの4回目の絶妙なコースに決まるボール。三振に打ち取ったはずのボールを渡辺はちょこんとバットに当て、これがファーストの頭上を越えて1塁線ギリギリにライトの前に落ちるヒットで1死1塁。1番江尻はフルカウントから三遊間を破るヒットで1死1、2塁。2番野中は上手く流してサードの頭上を越しレフト前にワンバウンドで落ちるヒットで1死満塁。ここでタイムを取り、内野陣が集まり一呼吸を入れる。恐らくゲッツーを狙うかバックホームでアウトを取るかの確認をしたのであろう。佐野日大としては1点もやれず、矢板中央としてはどうしても追加点が欲しいところ。打席に入るのは3番の吉田。吉田は2球目の外への変化球をとらえてセンターへ打ち上げる。センター中山和は右中間に回り込んでボールをつかみ2死とするが、回り込んでのランニングキャッチのためセカンドにボールを返すのが精一杯。しかし3塁ランナー渡辺のホームインのみならず、2塁ランナーの江尻もタッチアップから3塁に進塁させてしまった。ちょっとの隙ではあったがこの江尻の好走塁がさらに貴重な追加点を生むことになる。2死1、3塁から4番加藤への1ストライクからの2球目、ピッチャー江田がセットポジションに入り、投球動作に入ったところで1塁ランナーの野中はスタートを切る。ピッチャーはすかさず1塁に牽制球を入れ、ボールを受けたファースト戸泉は「しめた」とばかりに捕球後すぐセカンドに送球し、1塁ランナーの野中を挟む。しかしセカンドベースでショート五十幡がボールを受けた瞬間を矢板中央サードランナー江尻は見逃さなかった。1塁ランナー野中がスピードを緩めた瞬間に江尻はタイミング良くスタートを切り、五十幡は一瞬ホームを見たが江尻の足では投げても間に合わないと見たのかバックホームできず、江尻はそのままホームイン。五十幡はファースト戸泉に送球し、戸泉が1塁ランナーの野中にタッチしスリーアウトとなったが、足で相手に揺さぶりをかけたい黒田監督の戦術と意図を選手たちがよく理解し、この大きな舞台で実行してみせた江尻、野中のアイコンタクトによる奇抜な足攻め野球で矢板中央はさらに大きな大きな追加点となる4点目をもぎ取り、4対1とリードを3点に広げた。

 7回裏、佐野日大の攻撃。先頭の7番須藤を初球の変化球をショートゴロ。難しいバウンドのゴロをショート吉田は軽快にさばいて1塁に送球し1死。8番江田はセカンドの左を襲うセンターへ抜けようかという当たり。しかしセカンド渡辺がこの深いゴロを追い付き、すぐさま体勢を整える暇なく1塁へ送球。ふわりとした送球であったがファースト小室が懸命に前に体を伸ばしてこの送球を抑え間一髪アウトで2死。9番中根も良い当たりだがショート正面のライナーに抑え三者凡退。マウンド上の生井を内野陣が守り立てる。

 8回表、佐野日大のマウンドにはレフトの左腕中山貴が上がり、ピッチャーの江田に替わりライトに小島が入り、石山はライトからレフトに回った。4番加藤をファーストゴロ、5番小室をショートゴロ、6番黒金を空振り三振に打ち取り三者凡退。
 8回裏、佐野日大の攻撃。1番五十幡は初球をセカンド後方に打ち上げる。センター野中とセカンド渡辺の間に落ちそうな当たりをセカンド渡辺が背走し、上手くランニングキャッチし1死。2番吉川を変化球で見逃し三振、3番中山和を初球でピッチャーゴロに打ち取り三者凡退。

 9回表、矢板中央の攻撃。先頭の7番大島をセカンドゴロ、8番生井に替わり代打に入った石山をセンターフライ、9番渡辺をライトフライに打ち取り三者凡退。
 9回裏、石山に替わり矢板中央のマウンドには和久が上がる。佐野日大の攻撃は4番中山貴から。和久は中山貴を初球ライトフライに打ち取るが、このまま簡単には終わらないのが野球の怖さ。1死から5番石山は初球をレフトスタンドへホームラン、6番戸泉も初球のボール気味の直球をこれまたレフトスタンドへホームラン、たった2球であっという間に1点差に詰め寄られてしまう。続く7番須藤はショートゴロで2死とするが、8番小島はライト前ヒット、同点のランナーが出たところで矢板中央サイドはピッチャーを和久から4人目の印南に替える。一方、佐野日大サイドも9番打者を中根に替えて代打並木を送る。並木は3ボール1ストライクからの5球目をレフト前に弾き返し2死1、2塁。ピンチが広がったところで佐野日大の続く打者は内野安打2本の俊足1番打者五十幡。長打が出れば逆転サヨナラという場面で俊足巧打の嫌な打者を迎えたが、マウンド上の印南は動じず気迫の投球で立ち向かう。カウント2-2と追い込んでから印南が投じた渾身の外いっぱいの直球に五十幡は手が出ず、球審の右手が上がって見逃し三振に打ち取り試合終了。この瞬間、マウンド上でグラブをポンと右手ではたきガッツポーズした印南の姿がこの試合の厳しさを物語っていた。堅守からリズムをつくり、2ストライクからの勝負強い打撃とここ一番での走塁が際立ち、両チームが持ち味を十分に出し切りどちらが勝ってもおかしくない紙一重の好試合を制した矢板中央が4対3で粘る強豪佐野日大を振り切り、ベスト8進出を果たしたのである。

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<週刊ベースボールマガジンに本校野球部が掲載される>

ベースボールマガジン社が発行している雑誌で「週刊ベースボールマガジン6月2日号」(2014年5月21日発行)96ページのアマチュア情報最前線に、本校野球部が「13年ぶりの大舞台で得た甲子園初出場への財産」の見出しで、関東大会出場の裏側として”監督が、チーム内で選手たちにどのような意識改革を行っていったのか””冬場に選手たちが強化していったことは何か”の内容で掲載されました。チームとしての今後の成長が楽しみです。

詳しくは LinkIconこちら をクリック!

<白夜書房の「野球小僧 2011年高校野球開幕大特集」に本校野球部選手が掲載される>


 白夜書房が発行している雑誌で2011年3月10日発売の「野球小僧 2011年高校野球開幕大特集」に、本校野球部3年生の福田龍太投手が写真付きで掲載されました。「どんな選手か」、「プロでいえばどんな選手タイプか」など、今後の活躍に期待できる内容が書かれており、彼のますますの成長が楽しみです。

詳しくは LinkIconこちら をクリックしてください。

<白夜書房の「野球小僧 世界野球選手名鑑2010」に本校野球部選手が掲載される>

 白夜書房が発行している雑誌で2010年3月20日発行の「野球小僧 世界野球選手名鑑2010」に、本校野球部2年生の福田龍太投手が写真付きで掲載されました。「どんな選手か」とか「プロでいえばどんな選手タイプか」など、今後の活躍に期待できる内容のことが書かれており、彼のますますの成長が楽しみです。
 福田龍太投手に加え、3年生では斎藤雅史投手と石川将平一塁手も併せて野球小僧に掲載されました。


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オクボール
(雑誌LinkIcon「Baseball Clinic 09年1月号」で紹介されました)