平成28年度 野球部名勝負!
H28 春季県大会準決勝 青藍泰斗高校戦
吉田 峰人
平成28年度の春季栃木県高校野球大会は、矢板中央高校は初戦で昨秋の県大会優勝チームのシード白鷗大足利高校に8対2で勝利すると、2回戦の宇都宮清陵高校に12対0、準々決勝のシード栃木高校に7対4と勝利し、関東大会出場のかかった準決勝でシード青藍泰斗高校との対戦となった。
試合は5月3日火曜日午前11時21分から宇都宮清原球場において、矢板中央の先攻で試合開始。
1回表、青藍泰斗の先発マウンドには岸野が立つ。先頭の1番江尻がセンター前ヒットで出塁し、2番野中のファーストゴロの間に1塁ランナーの江尻は2塁へ進み、1死2塁のチャンス。しかし3番吉田、4番加藤がセンターフライに倒れ、先制ならず。
1回裏、矢板中央の先発マウンドには鈴木が立つ。先頭の御田をセカンドゴロに打ち取るが、2番中山にサード前内野安打を許すと、3番野口のセンター前ヒットの間に1塁ランナーの中山は一気に3塁を陥れ、1死1、3塁。4番山ノ井に1ボールからの2球目をライト前にタイムリーヒット、3塁から中山が還り3連打で1点を先制され、なおも1死1、2塁。5番須藤には6球粘られたが三振に仕留める。2死1、2塁で6番石川。1ストライクからの2球目を打った打球は快音を残してライトへの大飛球…矢板中央サイドの多くが一瞬「抜かれた」と思ったこの打球をライト大島が懸命に背走し、フェンスに激突しながらの大ファインプレー。これが抜けていればさらに2点を追加された場面であっただけに、このプレーはチームのピンチを救ってくれる大きなプレーとなった。しかし、1点を先制されてしまった。
2回表、矢板中央の攻撃。5番齋藤はセカンドゴロ、6番田鎖はショートゴロ、7番大島に替わっての代打江連はピッチャーゴロに倒れ、三者凡退。
2回裏、青藍の攻撃。7番小林をサードゴロ、8番相馬はセカンドへの内野安打で1死1塁。9番岸野はキャッチャー前への送りバントで2死2塁。しかし1番の御田をセンターフライに打ち取り、ピンチを脱した。
3回表、矢板中央の攻撃。先頭の8番鈴木を四球、9番渡辺はピッチャー前への送りバントで1死2塁。打席に1番の江尻を迎えたところで青藍泰斗サイドはピッチャーを岸野に替えて板垣をリリーフさせる。140キロ近い速球が武器だ。板垣の前に江尻はセカンドゴロ、2番野中は四球で2死1、2塁となるが3番吉田はサードフライに倒れ、同点ならず。
3回裏、青藍の攻撃。2番中山はセンター前、3番野口はライト前で無死1、2塁。4番山ノ井のセカンドゴロで1塁ランナーの野口が2塁フォースアウトとなるが1死1、3塁のピンチ。しかし5番須藤を見逃し三振、6番石川をセカンドゴロに打ち取り、鈴木が踏ん張った。
4回表、矢板中央の攻撃。4番加藤はショートゴロ、5番齋藤はセカンドゴロ、6番田鎖はショートライナーに倒れ、三者凡退。
4回裏の青藍の攻撃。7番小林をライトフライ、8番相馬を空振り三振、9番板垣がセンター前で2死からランナーを出すが1番御田をセンターフライに打ち取った。
5回表の矢板中央の攻撃。7番江連はレフトフライ、8番先発の鈴木に替わっての代打小室はファーストゴロ、9番渡辺は空振り三振に倒れ、この回も三者凡退。
5回裏、矢板中央サイドは代打の小室に替わり、和久がリリーフ。2番中山をライトフライに打ち取るが、3番野口を四球で歩かせ、4番山ノ井のライト前ヒットの間に1塁ランナーの野口は一気に快速を飛ばして3塁を陥れ、1死1、3塁。5番須藤は1ボールからの2球目をピッチャー前にスクイズを決められ3塁ランナーの野口が還り、2点目。しかし打者走者の須藤を1塁フォースアウトにする間に1塁ランナーの山ノ井は一瞬の隙をついて3塁へ。しかし落ち着いていた矢板中央のファースト田鎖が山ノ井の走塁を見てサード齊藤への矢のような送球で3塁タッチアウトとする好プレーでダブルプレー、この回を1点に抑えた。しかし、手痛い追加点を許してしまった。
試合は0対2で後半へ。
6回表の矢板中央の攻撃。1番江尻がライト前ヒットで出塁し、2番野中がピッチャー前への送りバントで1死2塁。しかし3番吉田がキャッチャーフライ、4番加藤が空振り三振に倒れ、この回もチャンスはあったもののあと1本が出ない。
6回裏の青藍の攻撃。6番石川をファーストフライ、7番小林をレフトフライ、8番相馬を空振り三振に打ち取り、三者凡退に抑える。
7回表の矢板中央の攻撃は5番齋藤が見逃し三振、6番田鎖がピッチャーゴロ、8番江連がセカンドゴロに倒れ、三者凡退。
7回裏の青藍の攻撃。9番板垣を空振り三振、1番御田をピッチャーゴロ、2番中山は四球で出塁するが、3番野口の4球目に1塁ランナー中山は盗塁をしかけるが矢板中央のキャッチャー加藤が捕球後素早く2塁けん制、ボールを受けたショート吉田が中山にタッチして盗塁を阻止(上の貼り付け写真参照)。この回を無得点に抑える。
8回表の矢板中央の攻撃。先頭の8番和久がカウント2-2と追い込まれながらも5球目を1塁線上にしぶとく落とすライト前ヒットで出塁、続く9番渡辺が初球をきれいにサード前にセーフティーバントを決め、さらに1番江尻が1ストライクからの2球目をセカンドの左を破るセンター前ヒット、2塁ランナーの和久はサードコーチャー小室の好判断により3塁でストップ、3連打で無死満塁。2番野中が打席に入り、矢板中央ベンチが動く。初球ファールの後の2球目に意表を突くスクイズ。3塁前に落ちてコロコロと3塁線に転がる。止まれば1点差でなおも無死満塁となり奇襲が見事に決まったかに思えたが、青藍のサード御田が好判断により我慢強く「ボールに触れない」を選択。「切れるな。入れ」の矢板中央サイドの祈りが届かず、わずかに打球は3塁線を切れてしまい惜しくもファールとなる不運。続く3球目を野中は空振り三振してしまい、1死満塁。しかしチャンスは続く。ここで3番吉田は1ボールからの2球目をきれいに弾き返して三遊間を破るタイムリーヒットで3塁ランナーの和久が還り、まず1点差。なおも1死満塁の場面で4番加藤が打席に入る。その加藤に対し、1ボールから青藍のエース板垣の投じた2球目を加藤はきれいに弾き返す。3塁線に痛烈な打球が飛び、矢板中央サイドが一瞬「抜けた」と思わせるような抜ければ一気に逆転の場面であったが、惜しくもあとわずかのところで打球は切れてしまいファール。続く3球目を加藤は再びジャストミート、これまた痛烈な打球であったが今度は惜しくも青藍のサード御田へのライナー。さらに飛び出した3塁ランナーの渡辺は3塁に戻れずダブルプレーをなる不運で同点ならず。しかし終盤の粘りで矢板中央は1対2と点差を1点差に詰め寄った。
8回裏、青藍の攻撃。先ほどの回で反撃ののろしを上げるライト前ヒットを放って気合の入った矢板中央のマウンド上の和久が「これ以上は点差を放されるものか」と意地を見せ、3番野口をファーストゴロ、4番山ノ井をセンターフライ、5番須藤をセンターフライに打ち取り、三者凡退に抑える。
9回表、矢板中央は先頭の5番齋藤がセカンドゴロ、6番田鎖に替えて代打の中根は良い当たりのレフトへの打球。落ちるか落ちないかのライナーであったが、青藍のレフト小林が人工芝すれすれで左手を伸ばしノーバウンドでキャッチしレフトライナーで2死。7番江連はショートゴロに倒れて試合終了。
1対2であと1点が届かず、惜しくも2年ぶりの関東大会出場はならなかった。しかし1時間37分の試合時間の息詰まる接戦の中で出た序盤のライト大島のビッグプレー、5回裏のファースト田鎖の好送球による3塁タッチアウトなどの堅守、投げては先発の鈴木とリリーフの和久の好投、打っては8回表の粘りの攻撃など攻守にわたり見せ場を作るしぶとい野球を見せた矢板中央野球部に対して試合後のあいさつではスタンドから温かい大きな拍手が送られ、選手たちはこの試合により夏に向けて大きな自信をつかんだのである。