更新日 2018-09-18 | 作成日 2018-09-18

第66回春季関東大会1回戦 専修大松戸高校戦

吉田 峰人

 平成26年度の春季関東地区高等学校野球大会は、矢板中央高校は初戦で千葉県第1代表の専修大松戸高校との対戦。エース原は2年生ながら最速143キロ、金子も最速140キロに達するという本格派2枚看板。しかも大会参加校の多い激戦区の千葉県大会を並み入る強豪相手に1失点のみで優勝している。矢板中央としてはこの2枚看板からどう打つかがこの試合のポイントであった。
 試合は5月17日土曜日12時33分、専修松戸の先攻で試合開始。

 1回表、矢板中央の先発マウンドには小林が立つ。先頭の1番稲葉が外のボール球に空振り三振、2番藁谷はセンター前ヒット、3番高田はストレートの四球で1死1、2塁。ここで4番渡邉はレフト前ヒット、2塁から藁谷がホームインし1点先制される。5番河村はカウント2-2からの6球目を二遊間への抜けそうな当たりのライナーに矢板中央セカンド深沢が上手く右に最短距離で入りジャンプしながらキャッチ、さらに飛び出した2塁ランナー高田を深澤がベースカバーに入ったショート舘林にトスしダブルプレー。幸先良く1点を失ってしまった。
 1回裏、専修松戸の先発マウンドには背番号10の金子が立つ。右のオーバーハンドから繰り出される140キロに達する速球が魅力。先頭の1番黒金は1塁線への良い当たりのライナーだが専修松戸ファースト薄井の正面で1アウト。2番舘林は四球、3番矢板への第3球目に舘林は盗塁を決め、1死2塁。矢板はカウント2-3から1、2塁間に抜けそうな頃を専修松戸セカンド藁谷が好捕、1塁でアウトにする。この間にセカンドランナーの舘林は3塁へ。4番深沢は右中間へ同点となるセンター前タイムリーで3塁ランナーの舘林がホームインし1対1の同点。5番山田はライト正面へのフライで3アウト。しかし、同点に追い付いた。

 2回表、専修松戸は6番岡本のレフト前ヒット、7番阿部はキャッチャー前への送りバントで1死2塁。8番金子はショートの頭上を越すライナー性のレフト前ヒットで1死1、3塁。9番薄井は初球を1塁線へセーフティースクイズを試みるが強いバントとなり前進守備の矢板中央ファースト佐藤は正面でこの打球を捕り薄井にタッチ、3塁ランナーの岡本は還れず2死2、3塁。1番稲葉は死球で2死満塁。2番藁谷の打席でカウント1-3から2球続けて縦への変化球、藁谷は球種を読み違えたのか変化球にタイミングが合わず引っかけてのピッチャーゴロ。小林は難なくボールをさばいて1塁へ走りながらファースト佐藤へトスし3アウト、2死満塁のピンチを脱した。
 2回裏、6番佐藤は1塁線へのファールフライを専修松戸ファースト薄井とライト阿部が追い、阿部がランニングキャッチし1アウト、7番菊地はレフトフライ、8番小林は外の変化球に空振り三振で3者凡退。

 3回表、専修松戸は3番高田のライナーでセンター矢板の前にワンバウンドで落ちるセンター前ヒット、4番渡邉は3球目を送りバント失敗で三振、5番河村は3塁線を破る長打コース、しかしフェンスにボールが挟まりボールが抜けずエンタイトル2塁打で1死2、3塁。6番岡本はやや高いバウンドのサードゴロ。矢板中央のサード菊池はこのボールを抑えるが、間に合うであろうバックホームを選ばずファーストへ送球。岡本はアウトとなるが3塁ランナーの高田がホームインさせてしまう。7番阿部は左中間へのレフト前タイムリーヒットで河村がホームインし1点追加。8番金子の4球目に阿部は盗塁失敗で3アウトとなるが、この回2点を勝ち越されてしまった。

 3回裏、矢板中央は9番菅原のカウント2-3から外の際どいストレートを見極め四球、1番黒金の1ボールからの2球目にピッチャー金子のフォームを上手く盗み絶妙のスタートを切り、楽々盗塁成功。これで気持ちの動揺が見られた金子の甘いボールを黒金は逃さず弾き返し、ライトオーバーのタイムリー2塁打。菅原がホームインし、1点差でなおも無死2塁。続く2番舘林もセンター前へタイムリー、2塁ランナー黒金は3塁コーチャーの手がぐるぐる回るのを見て一気にホームへ。専修松戸のセンター稲葉は懸命のバックホームを試みるが1塁側に少しそれ、黒金はホームイン、舘林もセンターからのバックホームの間に2塁へ達しベース上で舘林はガッツポーズを見せる。これで3対3の同点、なおも無死2塁。3番矢板はカウント2-3から1塁へのファール、その前に矢板の出したバットが専修松戸キャッチャー河村のミットに当たり打撃妨害、無死1、2塁となる。ここで専修松戸の持丸監督は金子をあきらめ、ついにエース原をマウンドへ。しかし原も矢板中央の勢いを止められない。4番深沢を四球で歩かせ無死満塁。5番山田はファーストへの痛烈な打球、薄井は右に素早く移動しながら正面でボールを処理しようとするが打球の勢いが勝りこのボールを弾いてしまう。弾かれたボールはそのままセンター方向へ転がり、この間に3塁ランナーの舘林に続いて2塁ランナーの矢板もホームを駆け抜ける2点タイムリーヒットで矢板中央は5対3とついに試合をひっくり返した。なおも無死1、2塁。ここから専修松戸の原は意地を見せ、6番佐藤をカウント2-1からの縦の変化球で空振り三振、7番菊池も4球目のストレートに空振り三振で2アウトとする。2死1、2塁となり打席には8番小林。小林はセンター前にきれいなヒットを放つ。2塁ランナーの深沢は3塁コーチャーの手がぐるぐる回るのを見て追加点のホームを狙う。しかし2度目のバックホームは専修松戸のセンター稲葉のワンバウンドの好返球が勝った。深沢は河村のブロックに阻まれホームでタッチアウトとなり、追加点ならず(上の貼り付け写真参照)。しかし、この回4点を奪い一気に逆転した。

 4回表、8番原はショートゴロ、9番薄井は死球、1番稲葉はライト線ギリギリに落とすしぶいヒットで1死1、3塁。2番藁谷はピッチャー正面への強いゴロ。これを矢板中央のピッチャー小林はこの打球に素早く反応し2塁へ送球し2アウト、さらにボールを受けたショート舘林は1塁へ送球し、打った藁谷は懸命にヘッドスライディングするが送球が間に合いダブルプレー、1死1、3塁のピンチを脱した。
 4回裏、9番菅原はレフト前ヒット、1番黒金は送りバントで1死2塁。2番舘林は際どい内角へのボールをよく見て四球、3番矢板はセカンド右への打球に専修松戸のセカンド藁谷が右に走り懸命に飛び付くもわずかに捕れずセンター前ヒットで1死満塁。4番深沢は叩き付ける打球がワンバウンドで専修松戸のファースト薄井が飛び付くもその頭上を大きく越え、1塁線に沿って打球が転がるライト前タイムリーヒット。3塁ランナーの菅原に続き2塁ランナーの舘林も一気にホームを突き、専修松戸ライト阿部がこのボールを処理し懸命にバックホーム、好返球となったが舘林がうまく回り込みホームイン、2点を追加し7対3とし、1塁ランナーの矢板も3塁に達し1死1、3塁。続く山田への初球にスクイズを試みるが山田は空振り、飛び出した3塁ランナーの矢板は三本間に挟まれタッチアウトで2死3塁。山田は空振り三振に倒れ追加点はならなかったが、大きな2点が矢板中央に入った。

 5回表、3番高田のファーストへの強いゴロが佐藤の手前でバウンドが変わり抜けていくライト前ヒット、ライト菅原がファンブルする間に高田は2塁へ到達、無死2塁となる。4番渡邉はセカンド右へ、センターへ抜けようかという打球。しかし矢板中央のセカンド深沢がハーフバウンドを上手くグラブを出してこのボールを驚異的なキャッチング。落ち着いて1塁へ送球し1塁で渡邉をアウトにした。打球が痛烈なため高田は2塁で動けず1死2塁。5番河村は四球で1死1、2塁とし、6番岡本のレフト前へのタイムリーで守備位置が深かったため2塁ランナーの高田が還り1点返される。7番阿部はサードへのファールフライで2死1、2塁。2死1、2塁で8番原の打球は三遊間を痛烈に抜けるヒット、ホームへは厳しいと思われたが2塁ランナーの河村は一気にホームを狙う。しかしレフト菅原がボールをつかんでレーザービームのようなバックホームがワンバウンドでホームベース上に構える山田のミットへズバリ。2塁ランナー河村の3メートル手前でボールを受けた山田は楽々河村にタッチしこの回を1点止まりで抑えた。しかし7対4と点差は3点に縮んだ。

 5回裏、6番佐藤は二遊間を抜くセンター前ヒット。7番菊池はキャッチャーへの送りバントが小フライとなり1死1塁。8番小林の2球目に佐藤は盗塁を試みるが失敗し2死ランナーなし。小林は空振り3球三振でこの回無得点。
 6回表、9番薄井は初球をショートゴロ、1番稲葉は三遊間への痛烈なレフト前ヒット、2番藁谷はサード横への緩めのショートバウンドをサード菊池が捕れず、1死1、2塁。菊池が動揺していると見た奥澤監督はサードを菊池から八木澤に替える。3番高田のレフトへのフライの後、この奥澤監督の采配が生きた。2死1、2塁で4番渡邉の打った打球は3塁線への抜けようかというゴロ、これを八木澤が驚異的な反応でボールを弾く。抜けていれば確実に1点入るという局面でのこのプレーに、アウトにはできなかったが大きな歓声が沸いた。しかし2死満塁。さらに5番河村は再び快音を残し、痛烈な打球をサード方向へ。しかしこれもサード八木澤が再び驚異的な反応を見せてこの打球を好捕し得点を阻み、2死満塁のピンチを脱しこの回2度目の八木澤の好プレーにさらに大きな歓声が沸いた。相手に傾きかけた流れを、奥澤監督の采配、そして急に替わって出場した八木澤がいきなり結果を出してしまうこの回こそ、この勝負の分かれ目だったかもしれない。
6回裏、矢板中央は9番菅原三塁線前へのセーフティーバントにピッチャー原が驚異的なフィールディングを見せ、1塁へ矢のような送球でアウト。1番黒金は空振り三振、2番舘林は良い当たりだったがライト阿部の正面のライトフライでこの回3者凡退。

 7回表、6番岡本は右中間へのライナー、風に流されたが上手く黒金が回り込みライトライナー、7番阿部はショート舘林の頭上を越すレフト前ヒット、8番原のピッチャーへの強烈なライナーを小林は驚異的な反応でグラブを右に出し好捕、飛び出した1塁ランナーの阿部を小林は落ち着いてファースト佐藤へ転送しダブルプレー、小林はガッツポーズを見せ、嬉しそうにベンチに帰って来た。
 7回裏、3番矢板は空振り三振、4番深沢は内角の球によけきれず死球、5番山田はピッチャーとファーストの間にきれいな送りバントを決め2死2塁。6番佐藤はワンバウンドの外への変化球に空振り、振り逃げを狙うがキャッチャー河村は落ち着いて1塁へ転送し3アウト、この回無得点。
8回表、9番薄井はサードゴロ、1番稲葉はセカンド後ろへの風に乗った難しい打球にセカンド深沢が上手く追ってランニングキャッチし2アウト、2番藁谷は外への変化球に空振り三振で3者凡退。
 8回裏、7番八木澤は初球をセカンドゴロ、8番小林は外へのストレートに空振り三振、9番三遊間へのゴロをショート渡邉が上手く回り込みボールを捕り、ファーストへ良い送球を見せ、この回3者凡退。

 9回表、3番高田のショート右への難しい打球にショート舘林は上手く逆シングルでグラブを出し好捕、1塁へ転送し1アウト。4番渡邉はレフト線への2塁打で1死2塁。5番河村はショート正面へのフライで2死2塁。6番岡本の代打に西田を投入。西田はカウント2-2から4球続けて粘り、ストレートを1、2塁間へ。セカンド深沢が左に走りながら飛び付くもわずかに届かず、ライト前ヒット。2塁ランナーの渡邉は一気にホームへ。ライト黒金の懸命のバックホームも間に合わず、渡邉はホームインし、7対5の2点差。なおも2死1塁。1塁ランナーを西田から伊藤に替える。7番阿部のところで再び代打大野を送る。大野も1、2塁間へ弾き返し、セカンド深沢が飛び付くも捕れず、ライト前へ。この回2本目となるバックホームを焦った黒金はこの打球を後逸してしまう。この間に1塁ランナーの伊藤は一気にホームイン、打った大野も2塁へ。7対6の1点差となり、2死2塁。バッターは8番の原。しかし小林が渾身のストレートに原は力負けし、打球はライト正面へ、西日が射しヒヤッとしたがライト黒金がこのフライをガッチリつかんで試合終了。試合時間は2時間5分、矢板中央の9安打に対し専修松戸は倍となる18安打を浴びたが、粘り勝ちで千葉県第1代表の専修松戸を7対6で逃げ切り、2回戦にコマを進めた。

 好投手2枚看板を打ち崩し、3回裏に一度逆転してからは選手と監督が一体となって集中力を持続させ、試合の流れを相手に渡さなかった矢板中央の全員野球での関東大会初勝利であった。野球部の歴史に新たな1ページを刻んだ瞬間であった。

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<週刊ベースボールマガジンに本校野球部が掲載される>

ベースボールマガジン社が発行している雑誌で「週刊ベースボールマガジン6月2日号」(2014年5月21日発行)96ページのアマチュア情報最前線に、本校野球部が「13年ぶりの大舞台で得た甲子園初出場への財産」の見出しで、関東大会出場の裏側として”監督が、チーム内で選手たちにどのような意識改革を行っていったのか””冬場に選手たちが強化していったことは何か”の内容で掲載されました。チームとしての今後の成長が楽しみです。

詳しくは LinkIconこちら をクリック!

<白夜書房の「野球小僧 2011年高校野球開幕大特集」に本校野球部選手が掲載される>


 白夜書房が発行している雑誌で2011年3月10日発売の「野球小僧 2011年高校野球開幕大特集」に、本校野球部3年生の福田龍太投手が写真付きで掲載されました。「どんな選手か」、「プロでいえばどんな選手タイプか」など、今後の活躍に期待できる内容が書かれており、彼のますますの成長が楽しみです。

詳しくは LinkIconこちら をクリックしてください。

<白夜書房の「野球小僧 世界野球選手名鑑2010」に本校野球部選手が掲載される>

 白夜書房が発行している雑誌で2010年3月20日発行の「野球小僧 世界野球選手名鑑2010」に、本校野球部2年生の福田龍太投手が写真付きで掲載されました。「どんな選手か」とか「プロでいえばどんな選手タイプか」など、今後の活躍に期待できる内容のことが書かれており、彼のますますの成長が楽しみです。
 福田龍太投手に加え、3年生では斎藤雅史投手と石川将平一塁手も併せて野球小僧に掲載されました。


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オクボール
(雑誌LinkIcon「Baseball Clinic 09年1月号」で紹介されました)